3月は去る…とはよく言ったもので、気が付けば3月も最終週となりました。
年度末は何かと慌ただしい時期ではありますが、笑顔を忘れずに過ごしたいと思います。
さて先日、日本歯科新聞に安易な拡大床の使用に警鐘を鳴らした、公益社団法人日本臨床矯正歯科医会が行なったプレスセミナーについての記事が掲載されていました。
拡大床とは拡大装置の1つで、プラスチックの真ん中に埋め込まれたネジを少しずつ広げて装着することで、歯列の幅を広くしていくことを目的としています。
患者さんの歯型を採れば、装置自体は技工所でも作製してもらえるため、そんなに矯正歯科治療の経験がない先生でも使用を試みやすいこともあり、子どもの矯正歯科治療に安易に使用されていることが最近問題になりつつあります。
当院に相談に来られた患者さんも「近くの歯医者さんに通っているクラスの友達はみんな同じ装置を使っているよ!」と、矯正歯科医にとっては聞き捨てならない事実が実態としてはあるようです。
拡大床で行なう歯の移動は歯の根っこそのものを真っ直ぐに動かすというより、歯を側方へ傾斜させることが多いため、後戻りがしやすかったり、また安易に使用することでかえって咬み合わせが悪くなったり、歯を支える骨から歯根が飛び出してしまったりすることさえあります。
拡大床そのものの使用が問題なのではなく、十分な検査や診断なしに使用されたり、その後のフォローがなかったりすることが問題になっています。
矯正歯科治療を進めるにあたって大切なのは、検査・診断に基づき患者さんそれぞれに合った治療が行われるということです。
医療側が意識を高めなければいけないことはもちろんですが、患者さんにもぜひ知っていただき、賢く治療を受けていただきたいと思います。