8月も最終週となりましたね。
私が子どもの頃は8月いっぱいは夏休みと思っていたのですが、既に2学期が始まっている学校もあるようですね。
そんな夏休み中はお子さんの歯並びについて相談を受けることが多くありました。
先日も受け口の女の子とお母さんが矯正相談に来られました。
なんでもかかっている小児歯科でマウスピースを使うことを勧められたとのこと。
この記事のタイトルはその時にお母さんから聞かれた質問です。
勧められたマウスピースとはおそらくこれのことだと思います。
この装置は「ムーシールド」というもので、口唇や舌の筋肉を鍛え、その筋機能によって歯並びを整えるというコンセプトの装置で、当院でも患者さんに使ってもらうことがあります。
この「ムーシールド」以外にも最近は既製品のマウスピースなどが増えてきました。
本来であればこのような既製品のマウスピースを使うのも、患者さんの骨格や歯の大きさ、筋肉や関節の状態を詳しく検査し、検査で得られた資料を分析した患者さんそれぞれに合った診断・治療計画に基づいて行なわれるべきです。
ところが残念なことに、そのようなしっかりとした検査・診断を行わずに「とりあえずマウスピースを使いましょう」と使用を勧められたという話をよく聞きます。
またこれらのマウスピースが既製品であるがゆえ、どこかの病院の売店に売られていた…などという、矯正歯科医からするととんでもない話を聞くこともあります。
矯正歯科治療に使われる装置はいろいろなものがあって、それぞれに適応症があります。
例えば、前述した「ムーシールド」は舌や口唇などの筋肉を鍛えることを目的とする装置なので、これを使ったからといって受け口か必ず治るというものではありません。
また一旦治っても、成長期にまた受け口が再発するタイプの方もいらっしゃるため、本当にこの装置を今使った方がいいのか、効果がどれくらいあるのかを、治療前の検査・診断でしっかり見極めることが患者さんの負担をなるべく少なくすることにもつながります。
検査項目の中にはレントゲン撮影をしたり、歯型を採ったりすることが含まれます。
したがって、それらが上手にできないくらいの低年齢のお子さんに、慌ててこのようなマウスピースを使う必要はないということです。
既製品のマウスピースであっても、患者さん本人がその装置の正しい使い方や目的を理解して使うことが大切なのです。
さて矯正相談に来られた女の子とお母さんにもこのような説明をし、歯並びを治すためにしっかりとした検査・診断・治療計画の立案が行われるべきで、その結果必要だったらマウスピースを使うこと、したがってマウスピース単体の値段設定はないことなどをご説明しました。
早いうちに…今のうちに…子どものうちに…と急ぎたくなる親御さんの気持ちもよく分かりますので、一緒にいちばん適切な時期と方法を考えていければと思っています。