当院に歯並びの相談に初めて来られる方の中には、ホームページを見て…という方もたくさんいらっしゃいます。
いろんな思いを込めて作ったホームページなので、たくさんの方に見ていただけるのは本当にありがたいことです。
先日来られた患者さんは当院に来られる前に別の歯科医院にも相談に行かれたそうですが、説明を受けてもなんとなく違和感を覚え、他を探しているうちに当院のホームページにたどり着いたとのこと。
その歯科医院はどんなところだったのか尋ねると、そこのホームページには「コミコミのセット○○万円!」と書いていたとか。
あくまでも聞いた話なので、事の真意は分かりませんが、確かに最近歯科医院のホームページで、ギョッと目を引くような表現が使われているものに遭遇することがあります。
患者さんからすれば、医療機関である以上、どこも同じくらい高い治療技術を持っていると思うだろうし、そういった医療機関が提供するホームページならば偽りや誇大表現はないだろうと信用してしまうのも無理はありません。
医療は人の生命・身体に関わる極めて専門性の高いサービスである、という考え方から、これまでテレビや雑誌などにおける医療広告には厚生労働省によってガイドラインが作成され、規制が設けられていました。
一方、医療機関のホームページについては、他の広告と違い、情報を得ようとする人が自らアクセスするものであることなどから、特に規制はありませんでした。
しかし、最近美容医療や自由診療などのホームページ上の情報をきっかけとしたトラブルが多く見られるようになったため、厚生労働省によって新たに「医療機関ホームページガイドライン」が設けられました。
患者さんに正しい情報を提供するために決められたもので、これによって、ホームページの不適切な内容に対して、医療機関に行政指導が行われることになり、医療を受ける人にとっても安心材料が増えることとなります。
さらに私が所属している日本矯正歯科学会や日本臨床矯正歯科医会でも、それ以上に厳しい目で会員診療所のホームページに上記ガイドラインから逸脱した表現がないかを随時チェックしていて、それをクリアしないと認定医などの取得や更新ができなくなっています。
例えば、「インビ〇ライン」や「デ〇モンブラケット」など固有の商品名を表記したり、治療を受けた患者さんの感想を載せたり、治療前後の写真を客観的な説明や治療に起こりうるリスクなど注釈なしに掲載したりすることもNGとされています。
当院のホームページにも以前は治療を受けた患者さんの喜びの声や治療の変化が分かるような写真を載せたりしていましたが、現在はこのガイドラインによる規制に準じた情報のみを提供しています。
矯正治療を受けるか迷っている患者さんには、治療を受けた患者さんの声や治療前後の写真がクリニック選びの重要な参考になると思うのですが、こればっかりは仕方ありません。
とは言え、残念ながら矯正専門でないクリニックや学会に所属していないクリニックの中には、こういったガイドラインはお構いなしのホームページを掲げているところもたくさん見受けられ、患者さんが混乱する材料の一つになっていることは否めません。
国民生活センターでは医療を受ける人に、「ホームページや広告の情報だけに頼らず、自ら情報収集した上でクリニックに出向くか決めること」や「クリニックの説明に納得できるまで契約しないこと。特に、即日施術は慎重に」など、トラブルに遭わないためのアドバイスも行っています。
情報が氾濫するこの時代、医療を受けようとする人にも正しい情報を見極める目が必要なようですね。
↑年始に大阪城天守閣に上りました。天守閣から望む大阪市内です。