少し前になりますが、5月4日付の日本経済新聞に気になる記事を見つけました。
それは「カラダづくり」というコーナーで、舌の筋力を維持・向上させることの大切さについて書かれていました。
実は舌には正しい位置というのがあります。
上の前歯裏側の付け根の少し内側部分に舌の先があたって、上あごに舌全体がピタッとくっついているのがその正しい位置です。
舌の位置が正常よりも低い位置にあったり、必要以上に舌を歯に押しつける癖があったり、舌を上下の前歯の間に突き出す癖があったりすると、その力は歯をも動かし、歯並びやかみ合わせを悪くする原因にもなります。
この記事では、「現代人の多くは舌先が少し上あごに触れるくらいか、舌がどこにも触れていない“落ち舌”状態(=低位舌)になっている」というある医師の言葉を紹介するとともに、低位舌は口呼吸の原因となり、さらに口呼吸は虫歯や歯周病のリスクを高めるだけでなく、風邪・インフルエンザなどの感染症、アトピー・喘息・花粉症などのアレルギー疾患の原因となりえること、また低位舌の原因となる舌の筋力低下によって、いびきや睡眠時無呼吸症候群、また食事を飲み込む力の低下や高齢者の誤嚥性肺炎をも引き起こされうることが説明されていました。
確かに私が歯科医師になった頃、勤務していた頃に比べ、最近は口腔内の唾液や水を吸うバキュームを近づけるだけで舌が抵抗できずに吸い付いてしまう人、口の中の写真を撮る際に舌が鏡の後ろに上がらない人が増えているように思います。
舌は大きな筋肉の塊で、通常であれば日常生活の中で鍛えられて正しい舌の位置を維持できるような筋力が養われるのですが、現代の食生活の変化やアレルギー性鼻炎などの鼻疾患による正しい呼吸ができない子どもの増加などにより、十分な筋力が獲得されないまま成長している人が多いような気がします。
健康にも大きな影響を与える舌の位置。
舌の体操や訓練で鍛えていきましょう。