9月ももう半ばに差し掛かるというのに、まだ酷暑が続いています。
ちょっと前に「今年は11月になって、ようやく秋が感じられる」と天気予報士さんが話していてびっくりしましたが、本当にその通りかもしれませんね。
今年は暑い1年になりそうですが、それと同時に当院では他院で治療中の方や過去に治療をしていた方の相談や転医が多いなあと感じます。
年明け早々に、近くの歯科・矯正歯科医院が破産したのを受け、たくさんの患者さんが転医の相談に来られた、というのもその理由の一つではありますが、
それ以外にも、矯正歯科治療を専門にしていない歯科医院で、「気になるところだけを部分的に」「安価で」「短期間に」治療したけれど、
治療する前より「歯が前に出てしまった」「前歯で噛み切れなくなった」「奥歯が咬み合わなくなった」などと、見た目や「噛む」という機能、体調にも不具合が生じて困っている、という不適切な矯正歯科治療を受けた患者さんからの相談が、今年は特に増えてきているように思います。
患者さんが「安価」と思って飛び付いた治療は、通常の矯正歯科治療の相場からすると安価かもしれませんが、
でもそれで気になるところが十分に治らなかったり、前に書いたような不具合が生じたりしたら、実際のコスパとしてはどうなんだろう?と思わざるにはいられません。
当院が開業した15年前に比べると、人々の歯並びに対する意識が格段に上がって矯正歯科治療に興味・関心を持つ人が多くなったことは喜ばしいことですが、
それと同時に、ネットやSNS上には玉石混交、嘘かホントか裏付けや根拠もないような情報が飛び交い、それに惑わされる人も多くなったように思います。
私がInstagramを見ていた時にも、『平均3ヶ月で終わる 〇〇矯正』なんて広告が流れてきて、「いやいやそんなわけないでしょ!」とツッコミを入れたくなりましたが、
矯正歯科治療について専門的知識のない患者さんなら、「それならできるかも!」と思って飛び付いてしまっても仕方ないでしょうし、
その結果、歯はきれいに並んだけど、咬み合わせや口元の突出感はかえって悪くなった…などというケースがたくさん出てくるようになったんだろうなと思います。
矯正歯科治療を商業的に利用しようとして発信されるSNSやインターネットの情報を止めることはできないですが、せめてこのブログを読まれた方には、矯正歯科治療で残念な思いはしてほしくないなと思います。
私が所属している公益社団法人 日本臨床矯正歯科医会では、2015年に適切な矯正歯科治療を受けるために矯正歯科医院を選ぶ基準を示す6つの指針を提示しています。
今から矯正歯科治療を受けることを検討しておられる患者さんには、ぜひ参考にしていただきたいと思います。