患者様へのお願い
矯正治療は審美的な意味でも、また歯と全身の健康のためにも、どんな人にも有意義な治療です。
矯正治療でならんだきれいな歯は、本当に美しく、 その治療を乗り越えた患者さんの笑顔は本物です。
しかし、その美しい歯ならびと笑顔を手に入れるには、いくつか患者さんに協力をお願いすることがあります。
一つ目のお願い
装置をつける事を嫌がらないで
まず、治療をするには装置をつけることが必要です。
最近は表からも目立ちにくいものや全く見えない裏の装置もあります。 しかし、取り外しができないために、最初は違和感があります。
装置をつけるのが嫌!という理由で矯正治療を敬遠している方もいらっしゃるほどです。
そういう話を聞くと、いつも私はこんな話をします。
初めは誰でも装置に慣れるか不安で、「しゃべりにくい」とか「歯が磨きにくい」とか不満をおっしゃいます。
しかしそれも最初の2,3日です。
2,3年して治療が終わり、装置を外す日。
装置をすべて外して、歯をつるつるに磨いて、さぞかし患者さんは喜んでくれるだろうと
「 どう?装置外れた感想は?」とウキウキして質問します。
ところが患者さんはほぼ全員首をかしげてこう言うのです。
「なんかヌルヌルして気持ち悪い…」
人は自分が思う以上に適応能力の高い動物なんですね。
二つ目のお願い
短期間で終わらせる治療法を選ばないで
歯をきれいにならべるには時間がかかります。
焦って短期間で終わる治療法を選ばないでください。
よく美容歯科の広告に「スピード矯正」といって「短期間で歯がきれいになります」と謳っているものがありますが、厳密にいうとあれは矯正治療ではありません。
矯正治療とは、歯に弱い力をかけて骨の中の歯の根っこをゆっくり移動させる治療です。力がかかった側の骨は溶け、反対側の骨が新たに作られます。
その生体反応が起こるのを待ちながら、ゆっくりゆっくり歯を動かしていくのです。
だから時間はかかりますが、歯を削ったり神経を抜いたりする必要がないので、歯の寿命を縮めることのない、体に優しい治療です。
芸能人やモデルさんなど、今が旬で稼ぎ時!というような職種の方は、たしかに将来のことよりも今の方が大切…と、短期間で終わる治療法を選ぶかもしれません。
しかし、ほとんどの人にとって、歯は今すぐきれいになること以上に将来にわたってずっときれいで長持ちすることの方が大切です。
「すぐに」とか「短期間」という広告文句にとらわれず、本質を治す治療法を選んで下さい。